うつ病のことー人工知能によるうつ病診断ー
こんにちは、なつきちです。
以前取り上げた光トポグラフィー検査は脳の働きを調べることで、客観的な根拠としてうつ病の診断を助けてくれるものでした。
しかしうつ病の診断結果を補完するシステムは光トポグラフィー検査以外にも着々と開発や仕組みの構築が進められています。
それが今回取り上げるアメリカ、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームによって開発された「うつ病の兆候を見抜いてくれる人工知能」です。
見た目にはもちろん、主観で判断せざるを得ないため難しいとされているうつ病の診断に、客観的データの一つを提示出来る可能性があるので詳細を見ていきたいと思います。
マサチューセッツ工科大学が開発した人工知能に関する論文の要約
・日常会話からの診断
従来のうつ病の診断はあらかじめ決められた質問に回答する形式でした。
しかし今回開発された人工知能では、自然な会話や文脈の中からうつ病かどうかの判断が可能です。
・会話の特徴を検出
悲しい、低い、下がるといったネガティブな単語を発するときに、平坦で単調になることや話すスピードが遅くなるといった特徴があり、それを検出して診断をしてくれます。
・診断の精度
142件の診断データをもとにし、およそ80%の精度で診断することが出来ます。
この新たに開発された人工知能の優れている点は、ニューラルネットワークモデルという人間の脳の神経回路を模倣した技術を取り入れているところです。
つまり人のように学習して得た知識を蓄積し応用することが出来るので、提示された問いに対して自ら考えて答えを導き出すことが出来ます。
加えてこの人工知能はテキストや写真からの検出にも対応しているため、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS内にシステムを組み込むことで将来的にはユーザーの投稿からもうつ病の判断が可能になると考えられています。
またシステムの将来性として、認知症の診断や検査への応用の可能性も示唆されています。
WHOの世界保健デーに見られるように、うつ病は国際的にもその患者数や自ら命を絶つ人の増加が問題となっています。
しかしうつ病を疑っての精神科や心療内科への来院には抵抗を持っている方が一定数いるのが現状です。
開発された人工知能を組み込むことで診断ツールが進化し、うつ病の診断がより身近に、より正確に、そしてより迅速になることで今まで以上に多くの患者の助けになることが待たれます。
うつ病のことー動物介在療法(アニマルセラピー)ー
こんにちは、なつきちです。
動物と触れ合うことは、ストレスの軽減やQOLの向上など様々なプラスの効果をもたらしてくれます。
我が家でも猫や犬を飼っていた経験があり、日々の生活に癒しを与えてくれていました。
医療や介護の現場でも取り入れられており、「動物介在療法(アニマルセラピー)」と呼ばれ、アメリカやヨーロッパでは古くから盛んに行われています。
犬や猫、うさぎといったペットのほか、ウマやイルカがセラピーアニマルとして活躍しています。
人と動物の触れ合いは3つの活動に分かれています。
動物介在療法(AAT:Animal Assisted Therapy)
医療の現場で治療行為として動物を介在させる補助療法です。
治療が目的となるため、医療従事者による効果の判定が行われます。
動物介在活動(AAA:Animal Assisted Activity)
動物と触れ合うことで、精神的な安定や生活の質の向上に貢献します。
動物介在教育(AAE:Animal Assisted Education)
保育園や小学校など、こども達の教育の現場に動物を介在させ、人としての成長を促します。
3つの活動の中で、一般的にアニマルセラピーとは動物介在療法、動物介在活動の2つの活動を指しています。
精神疾患においては、うつ病や統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の心理療法のプログラムの一つとして実施されています。
動物介在療法(アニマルセラピー)の効果
・愛情ホルモンの分泌
動物と一緒にいたり、触れ合っていることでストレスを軽減するオキシトシンというホルモンの分泌を促してくれます。
オキシトシンは不安を和らげたり、心拍数や血圧を下げたりする役割を果たしています。
出産や授乳時に分泌が増えることが知られており、「愛情ホルモン」と呼ばれています。
・リラックス効果
動物と触れ合っていると、呼吸がゆっくりになったり、血流が良くなるとされています。
また動物の柔らかい毛並みや暖かさを感じることで副交感神経が優位になりセロトニンの分泌も活発になるため、リラックスすることが出来ます。
・社会性の向上
ペットを飼ってい場合は散歩に出ることが外出のきっかけになり、適度な運動や引きこもりの抑制に繋がります。
特に朝の散歩では日の光を浴びることで、セロトニンの分泌を促してくれます。
ペットを介した飼い主間の会話においては共通の話題になることから、コミュニケーションの質や量の向上をもたらしてくれます。
このように動物と触れ合うことは精神疾患の治療において精神的、身体的、社会的にも様々な効果が期待できます。
ペットを飼うことが難しい場合でも、最近では猫カフェなどの動物と触れ合うことが出来る施設は多くあります。
もしペットを飼うことになった場合にも、自身の疾患がどの程度なのか、継続して世話をしていけるのか、経済面で負担にならないかなど注意しなければなりません。
また今の言葉でいう「ペットロス」にも注意が必要です。
精神疾患の治療には、治ったという客観的な指標はありませんが、アニマルセラピーによって症状の緩和が見られるのも事実です。
動物に触れ合う機会があった際は、その機会を生かして思いっきり癒されてみるのもいいかもしれません。
うつ病のことー経頭蓋磁気刺激法(TMS)ー
こんにちは、なつきちです。
最近では定番になっている「〇〇あるある」というフレーズ、うつ病でもよく「うつ病あるある」を目にします。
ツイッターでよく流れてくるのですが、あー確かにあるかも、と皆さん同じことで悩んでいるんだなと思いながら見ています。
「薬を飲んでも効いているのかいないのか、いまいち実感がない」的なフレーズは特に共感を覚えます。
うつ病の治療の特性として、進んでは戻りを繰り返しながら徐々に回復していくことがその理由の一つです。
しかし、中には難治性うつ病や抵抗性うつ病という治療がとても難しいうつ病もあるので、簡単に見過ごせない可能性もあります。
そういった長い期間うつ病に苦しむ方の悩みを解消できるかもしれない治療法があるのをご存知でしょうか。
それが「経頭蓋磁気刺激法(TMS)」と呼ばれる治療法です。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)とは
アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなどでも行われているうつ病の治療方法です。
頭蓋骨の外側から微量の電流を流して脳内の「背外側前頭前野」という場所の神経細胞を刺激し、血流を改善することで脳の機能を活性化します。
治療期間は3~6週間程度で、一回で40分ほどの治療を週3~5回のペースで行います。
入院もしくは通院で治療していきます。
副作用として、3割程度の方に治療中に頭痛や頭部に不快感を感じる場合がありますが、治療が終われば治まります。
自由診療(保険適用外)のため、費用は一回8,000~10,000円程度です。
うつ病の治療に用いられるほか、パーキンソン病や脳梗塞、耳鳴りなどの治療にも用いられます。
背外側前頭前野とは
前頭前野を構成する一部位です。
主に作業記憶(ワーキングメモリ)や集中力、判断力、学習能力、興味関心を担っています。
特に作業記憶は日常生活において重要な機能であり、機能が低下すると仕事や家事、勉強などに支障をきたします。
仕事でミスを繰り返してしまう、作業に時間がかかる、家事では片付けが苦手、勉強では集中力が続かない、新しいことが覚えられないといったうつ病の特徴として多くみられる症状は、主に作業記憶を司る背外側前頭前野の機能の低下によるものと考えられています。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)のメリット
薬物療法で改善が見られない難治性うつ病や抵抗性うつ病に対し、改善が期待できると言われています。
また薬物療法による副作用を懸念されていたり、薬物療法に抵抗感がある場合の治療の選択肢の一つになります。
うつ病の原因とされる脳の機能に働きかける治療法であり、薬物療法と比較して治療期間も短いことも磁気治療の利点です。
医療機関によっては、経頭蓋磁気刺激法にあたり以前取り上げた光トポグラフィー検査を実施の上、治療の必要の是非や治療後の効果の有無を判断します。
このことからもうつ病の原因が脳の機能低下によるものであるという考え方に則していると言えます。
ただ治療を行う場合、短期的ではあるものの、一週間に5回程度の治療が望ましいとされているため通院の負担が大きい点には注意しなければなりません。
「うつ病あるある」ではありませんが、うつ病になると体調の波によっては外出が難しい場合もあるかと思います。
しかし長年のうつ病に苦しんでいる方にとって、新しい治療法には大きな期待が寄せられます。
患者の経済的負担や医療機関での導入件数などクリアしなければならない問題はありますが、うつ病のメカニズムに基づいた治療として今後の普及が待たれます。
うつ病のことー当事者会の意義ー
こんにちは、なつきちです。
ネットなどの通信環境の発達著しい昨今、顔を突き合わせなくても別の場所にいる誰かとの情報交換はとても容易になっています。
ハード面はもちろん、フェイスブックやツイッターに代表されるSNSなどソフト面もどんどん機能が拡張しほぼリアルタイムでだれがどこで何をしているかが把握できます。
いま記事を書いているはてなブログも例にもれず、その恩恵をあずかるものの一つです。
しかしこれだけ情報収集できる環境がそろっていても、人は同じ目的の下一つの場所に集まって言葉を交わし議論したり思いを一つにします。
その一つの形が当事者会と呼ばれる集まりです。
当事者会とは「自助グループ」における集団を指す名称の一つとして捉えられています。
自助グループとは、同じ問題や悩みを抱えた人が互いに助け合い、問題を解決していくための小規模の集まりです。
当事者会のほか、その家族の集まりである家族会も自助グループの一つです。
当事者会のメリット
・直接会ってお互いの話を聞いたり、意見交換をすることが出来る
直接会って会話をするというのは、文字で読み取る以上に多くの情報を得ることが出来ます。
相手の表情やしぐさ、声の抑揚などが合わさることでよりその経験や体験に関して鮮明なイメージを持つことが出来るのも、膝を突き合わせて会話しなければ得られない情報と言えます。
また文字だけでは伝えきれない詳細な情報を得ることが出来るのも、直接会話することのメリットです。
直接交流することは互いの親睦を深めることはもちろん、仲間がいることをより強く実感できることから日々の活力にも繋がります。
・専門家や知識人を交えた学びの場に参加出来る
自分一人だけでは会って話を聞いたりすることが難しい専門的な知識や知見も持った人物から学ぶ機会を得ることが出来るのは、自助グループや当事者会のような組織、団体がもつ強味です。
特に福祉制度や法関係の知識は文章で見ただけでは理解が難しい場合が多々あります。
専門的な知識がなくても、より多くの人が分かるようかみ砕いた情報として伝えることが出来るのは専門家や知識人の得意とする分野だと言えます。
・福祉制度や支援の実現に向けた対外的な活動に携わることが出来る
組織や団体の規模にもよりますが、社会に向けた広報活動や啓蒙運動、署名運動も一個人で行うのは非常に困難です。
当事者やその家族が立ち上がることでより現実的な、あるいより当事者の目線に立った制度や支援を訴えることも可能です。
どんな自助グループがあるのか
行政が運営するものからNPO法人、企業によるものなど様々です。
なかには今や当たり前の女子会といった気軽に参加できる交流の場から、セミナーや講演会もあったりと色々なイベントが開催されています。
そのほんの一部をご紹介します。
・Milkカフェ
・ReOPA レオパ
・soar(ソア)
・U2plus
上にご紹介した以外にも自助グループは様々ありますので、気になった方はぜひ調べてみてください。
初めからいきなり直接は難しいかも、と思う方はグループ内のインターネット上の掲示板やコメント投稿からスタートするなど、段階を踏んでいく関わり方も可能です。
参加することで新たな出会いや発見、生き方などにめぐり逢うことがあるかもしれません。
うつ病のことー喫煙との関係ー
体に悪いことはわかっているんです、はい。。。
冒頭からすみません、なつきちです(後ろめたいので少し文が乱れています)。
煙草の値段が上ったり、全席禁煙の店舗が増えたりと、とにかく禁煙の波が押し寄せています。
先日のニュースでもコンビニエンスストアのセブンイレブンが、東京都内の店舗の灰皿の撤去を要請したと報じられていました。
受動喫煙による健康被害はもちろん、2020年に開催の東京オリンピックを見据えた動きとのことです。
最近では電子タバコも浸透してはいますが、肺がんをはじめ各種がんのリスクはいまだついて回ります。
喫煙による健康被害
煙草には様々な化学物質や発がん性物質が含まれています。
なかでも大きく取り上げられるのはニコチンとタールです。
ニコチンは依存性がある成分であり、このニコチンの依存性の高さが喫煙をやめられない原因になっています。
麻薬として知られているコカインやヘロインよりもその依存性は高いとされています。
よくありがちな煙草を吸うとストレス解消になるという話は正しい情報ではありません。
喫煙時のニコチン摂取によるリラックス効果は一時的なもので、体はすぐにニコチン不足の状態になり喫煙への欲求が湧き起こります。
タールは喫煙時の煙に含まれていて、がんにかかるリスクが高まる原因とされる物質で、数百種類もの発がん性物質が含まれています。
喫煙者の歯を茶色や黄色に変色させるヤニもタールの仕業です。
また体内に蓄積されると肺が黒く変色してしまいます。
この他、息切れがしやすくなったり、動脈硬化のリスクが高まる一酸化炭素が煙草には含まれています。
うつ病との関係
うつ病患者の喫煙率はうつ病でない人と比べて2~3倍に上るとされています。
これはストレスを解消するために喫煙をしている人が多いことが理由と考えられています。
また喫煙=ストレス解消という認識が世間一般でも広まっていることが拍車をかけているとも言えます。
ニコチンの摂取によりセロトニンが分泌されることは確かですが、あくまで一時的なものにすぎません。
ここで本当に問題なのはニコチン依存から生じるストレスです。
喫煙者の根底にあるニコチン不足によるストレスを解消することこそ、うつ病の治療において日々をストレスなく過ごすための方法だと気が付かなければなりません。
極端に言うと、ニコチン不足でストレスを日常的に感じているところにセロトニンを増やす抗うつ薬をいくら服用したところで効果が得られないということです。
よって喫煙者のうつ病の治療においては、禁煙も同時に行うことが抑うつ症状の改善により効果的になります。
ただし禁煙にはニコチン不足による禁断症状に気を付けなければなりません。
抑うつ症状が重い人や一日の喫煙本数が多い場合にはなおさらです。
そこで、いきなり完全禁煙しようとするのではなく禁煙外来に通うなどして、徐々にニコチンの摂取を減らしていく必要があります。
ニコチン依存の状態を少しずつ改善していくことで、セロトニンの分泌も正常に戻っていきます。
喫煙は本人や周囲の人の健康被害はもちろん、うつ病の回復の遅れにも繋がりかねません。
無理なく進めていくためにも主治医と相談し、効果的な治療に結び付けていきましょう。
うつ病のことー光トポグラフィー検査ー
こんにちは、なつきちです。
うつ病の診断に関して、客観的なデータによる診断が難しいというのが現在の課題とされています。
以前取り上げた、「うつ病のことー抗うつ薬が効かないうつ病ー - free life log」
の研究で用いられたMRIによる脳機能の画像解析は客観的なデータを提供してくれる数少ない事例の一つと言えます。
しかしあくまで研究のいちデータという側面が強く、日常的に診断に用いられるほど平易な手法ではありませんでした。
そこでより一般的に普及し得るようなデータを提示出来る手法は無いのかを調べていたところ、一つの検査に行き当たりました。
それがタイトルの「光トポグラフィー」という検査方法です。
光トポグラフィー検査とは
光トポグラフィー検査(読み)ヒカリトポグラフィーケンサ
デジタル大辞泉の解説
近赤外線を利用して脳の働きを観察する検査。頭皮の上から近赤外光を照射して大脳皮質の活動をとらえるもので、ヘモグロビンが光を吸収する性質を利用して脳の血流量の変化を計測し、画像として表示する。てんかん・鬱病の検査などに用いられる。「光トポグラフィ」は日立製作所の登録商標。 ※コトバンクより
検索すると上記の解説が出てきます。
補足すると、赤外線を前頭部や側頭部に照射するための帽子型の装置を被り、目の前のコンピュータから出される質問に応えていくという検査です。
質問に答える際の脳内の血流の変化を調べることで対象者を健常者、うつ病、双極性障害、統合失調症などに判別します。
出題される質問は、「あ」で始まる単語を答えるといった単純なもので、時間にして十数分程度で検査は終了します。
検査結果はグラフ化されるのですが、グラフの変化はそれぞれの疾患により特有のパターンがあるため、照らし合わせることで疾患を客観的に判断することが出来ます。
2009(平成21)年に厚生労働省の先端医療として承認され、2014(平成26)年には「抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」として保険診療で検査を受けることが出来るようになりました。
2013年以前は1万円以上の費用が掛かりましたが、保険診療の適用により3割負担になったことで費用負担はある程度軽減されています。
この検査で気を付けなければならないのは診断を確定するのもではなく、あくまで診断の補助に用いられる検査であるということです。
とはいっても検査自体の精度は70~80%と高く、問診の結果を裏付ける客観的資料として診断に説得力を持たせています。
また診断の補助として、疾患が回復傾向にあり復帰のタイミングを見極める際の判断材料としても貴重なデータとなります。
課題
うつ病を始めとする精神疾患の診断の補助として有用性はあるものの、導入件数を調べてみると70件前後と全国的な普及には至っていないようです。
これは光トポグラフィーを導入するにあたり、厚生労働大臣が定める施設基準に適合している(※)ことが必要になるためであり、導入にハードルがあることもその要因の一つです。
精度に関しては残りの20~30%は慎重な判断を求められることもあり、より多くの検査データの収集による診断精度の向上が求められています。
また保険診療の対象は限られており、うつ病と診断され治療を受けているが症状が回復せず(難治性うつ病や抵抗性うつ病)、統合失調症や双極障害などの他の精神疾患の可能性があるもの(※)に限られています。
※施設基準や保険診療の対象についての詳細は「D236-2 光トポグラフィー - 平成30年度診療報酬点数 | 今日の臨床サポート」をご確認ください。
診断を確定できるほどの臨床データが取れていない現状ですが、今後の導入実績によってはより平易に健康診断に取り入れられるなど広く普及する可能性は多分にあります。
誤った診断や治療の長期化を防ぐ意味でも現在の精神科医療に客観的データは必要不可欠なものです。
誰でも気軽にというわけにはいきませんでしたが、将来性のある検査として今後の展望に期待したいと思います。
うつ病のことー精神疾患のオンライン診療ー
こんにちは、なつきちです。
体調が優れない日と診察日が重なってしまうことがたまにあります。
正直なところそんな日は外に出たくないため、予約の日時を変更してしまいます。
たぶん私に限らず、うつ病をはじめとする精神疾患をお持ちの方であれば、覚えのある行動かと思います。
外出をするのは、結構なエネルギーを消耗するので思いのほかしんどいのです。
(病院に行かずに診察や薬の手配などが完結すれば助かるなあ。。。)といった、こころの声を実現した仕組みが実はここ数年で広まっているのだと知りました。
それがオンライン診療(旧名称:遠隔診療)というシステムです。
オンライン診療とは
パソコンやスマートフォンなどの通信機器を用いて医者と患者が対面せずに診察をすることが出来る診療方法。
遠隔地や離島に限らず、物理的な距離の制約を受けることなく診察することが出来る。
医師の不足の解消や長時間労働の是正につながる。
※オンライン診療の詳細については、日本遠隔医療学会ご覧ください。
オンライン診療のメリット
移動時間や待ち時間、物理的な距離の制約なく診察を受けることが出来る。
(院内処方の場合、)薬が宅配で届く。
オンライン診療のデメリット
初診は病院での直接診療が必要。
院外処方箋の場合は薬局に行かなければならない。
診察代が高い場合があり、決済はクレジットのみ。
オンライン診療の設備を導入している医院のみで可能。
患者側では通信環境や専用アプリ(オンライン診療アプリ CLINICS(クリニクス))等のダウンロードが必要。
デメリットもまだ目立ちますが、精神疾患の場合、通院を周りに知られたくない方もいるかと思います。
また一度通院を逃してしまうと、次の予約や通院に結びつかず、そのまま病院に行かなくなってしまうこともあります。
なので時間や場所の制約を受けにくいオンライン診療は継続的な治療に適していると言えます。
そもそもオンライン診療という考え方は、1997(平成9)年の厚生労働省の通達、「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」で示されていました。
しかし当時はオンライン診療の解釈や医師法第20条により、離島や遠隔地など対面診療が難しい場合を除いては原則禁止とされていました。
そこから改定が進み、2015(平成27)年に直接の対面診療と組み合わせることを前提としオンライン診療が事実上解禁となりました。
また今まで医療機関が足踏みする理由の一つとなっていた診療報酬についても、見直しが進められており、より導入環境は整備されています。
うつ病を含め精神疾患全般で見ても、罹患期間が長いことから継続した治療や服用が求められます。
また精神疾患以外にも、内科や小児科など他の診療科の中にもオンライン診療に適している分野が存在します。
しかし日本はオンライン診療の分野において、欧米諸国と比べて遅れているというのが実情です。
今後もますます導入やルールの制定が進み、より患者ごとに適した医療が提供できる環境になることを期待したいと思います。