うつ病のことー経頭蓋磁気刺激法(TMS)ー
こんにちは、なつきちです。
最近では定番になっている「〇〇あるある」というフレーズ、うつ病でもよく「うつ病あるある」を目にします。
ツイッターでよく流れてくるのですが、あー確かにあるかも、と皆さん同じことで悩んでいるんだなと思いながら見ています。
「薬を飲んでも効いているのかいないのか、いまいち実感がない」的なフレーズは特に共感を覚えます。
うつ病の治療の特性として、進んでは戻りを繰り返しながら徐々に回復していくことがその理由の一つです。
しかし、中には難治性うつ病や抵抗性うつ病という治療がとても難しいうつ病もあるので、簡単に見過ごせない可能性もあります。
そういった長い期間うつ病に苦しむ方の悩みを解消できるかもしれない治療法があるのをご存知でしょうか。
それが「経頭蓋磁気刺激法(TMS)」と呼ばれる治療法です。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)とは
アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなどでも行われているうつ病の治療方法です。
頭蓋骨の外側から微量の電流を流して脳内の「背外側前頭前野」という場所の神経細胞を刺激し、血流を改善することで脳の機能を活性化します。
治療期間は3~6週間程度で、一回で40分ほどの治療を週3~5回のペースで行います。
入院もしくは通院で治療していきます。
副作用として、3割程度の方に治療中に頭痛や頭部に不快感を感じる場合がありますが、治療が終われば治まります。
自由診療(保険適用外)のため、費用は一回8,000~10,000円程度です。
うつ病の治療に用いられるほか、パーキンソン病や脳梗塞、耳鳴りなどの治療にも用いられます。
背外側前頭前野とは
前頭前野を構成する一部位です。
主に作業記憶(ワーキングメモリ)や集中力、判断力、学習能力、興味関心を担っています。
特に作業記憶は日常生活において重要な機能であり、機能が低下すると仕事や家事、勉強などに支障をきたします。
仕事でミスを繰り返してしまう、作業に時間がかかる、家事では片付けが苦手、勉強では集中力が続かない、新しいことが覚えられないといったうつ病の特徴として多くみられる症状は、主に作業記憶を司る背外側前頭前野の機能の低下によるものと考えられています。
経頭蓋磁気刺激法(TMS)のメリット
薬物療法で改善が見られない難治性うつ病や抵抗性うつ病に対し、改善が期待できると言われています。
また薬物療法による副作用を懸念されていたり、薬物療法に抵抗感がある場合の治療の選択肢の一つになります。
うつ病の原因とされる脳の機能に働きかける治療法であり、薬物療法と比較して治療期間も短いことも磁気治療の利点です。
医療機関によっては、経頭蓋磁気刺激法にあたり以前取り上げた光トポグラフィー検査を実施の上、治療の必要の是非や治療後の効果の有無を判断します。
このことからもうつ病の原因が脳の機能低下によるものであるという考え方に則していると言えます。
ただ治療を行う場合、短期的ではあるものの、一週間に5回程度の治療が望ましいとされているため通院の負担が大きい点には注意しなければなりません。
「うつ病あるある」ではありませんが、うつ病になると体調の波によっては外出が難しい場合もあるかと思います。
しかし長年のうつ病に苦しんでいる方にとって、新しい治療法には大きな期待が寄せられます。
患者の経済的負担や医療機関での導入件数などクリアしなければならない問題はありますが、うつ病のメカニズムに基づいた治療として今後の普及が待たれます。